各地で桜前線の便りが聞こえてくる候となり、また平成最後の月を迎えようとしておりますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。
さて、一般社団法人食品表示検定協会は、任意団体としての活動も含め本年で10周年を迎えました。
この間、幣協会の検定試験を受験された方々はじめ、諸活動につきお力添えをいただいた多くの皆様にあらためて厚く御礼申し上げる次第です。
また、去る3月12日に多くの皆様の参集のもとに記念フォーラムを開催することができました。
フォーラムには、来賓として消費者庁から橋本審議官をお迎えし、心温まるご挨拶をいただくとともに、赤ア食品表示企画課長から「食品表示のいま、これから」と題して貴重なご講演をしていただきました。
また、幣協会設立時から、資金面や手続き・労力面等多岐にわたりご支援をいただいている生活協同組合コープさっぽろの大見理事長から「食品表示検定制度との関わりと今後への期待」と題して、設立時の苦労話や裏話に加え、コープさっぽろとしての食品表示検定制度の活用実績、さらには幣協会の将来に対する期待と激励までいただき、誠にありがたく感じた次第です。
おかげさまで、食品表示検定に関しては、延べ受験申込者は11万人を超え、合格者の累計数も約5万5,000人に達し、私ども協会の役職員もそれらのご期待に応えるべく責任と使命感を一層高め、日々検定制度の的確かつ円滑な運営に努めているところです。
ご案内のとおり、こうした受験者ニーズの高まりは、食品表示制度の動向を反映したものとも言えます。
すなわち、同制度は消費者ニーズの多様化や食品の高付加価値化等を踏まえ、ルールも年々複雑化してきました。これは、消費者の健全な食生活の実現を期して、食品を摂取する際の安全性や選択に資する情報伝達ツールとして「表示」の重要性が一層強まってきたとも言えます。
一方で、食品表示に関する法制度が異なる所管の省庁や個別の法令に基づいていたことも、複雑化の要因となっていたことも事実です。
こうした背景のもと、消費者庁が設立され食品表示法が制定されたことで、食品表示が所管、法令ともに「一元化」が図られたことは、食品表示の歴史の中でも最大のトピックで画期的なことと言えます。
消費者庁は、2009年9月に設立されましたが、奇しくも同年は幣協会が活動を始めた年でもありました。
ちなみに、幣協会設立に関して同年4月24日に記者発表をした時点では、消費者庁設置の構想は全く世の中に出ていませんでした。
また、協会設立が消費者庁の設立と同時期になったことは、食品表示に関して消費者、事業者両者ともに多くの課題を抱えていた当時の状況をみると必ずしも偶然ではなかったとも思っています。
いずれにしても、私どものこの10年間の活動は、消費者庁設置に伴う食品表示の一元化の検討、食品表示法の制定、食品表示基準の施行等、新たな食品表示制度への移行の歴史を辿ってきたとも言え、また新制度の円滑な運営の一助となっていれば幸いとも感じている次第です。
ところで、協会設立に際しても多くの方々のご協力がありました。
現在の検定制度の構想や体制等については、準備体制を作りに約2年の期間をかけて検討しましたが、この間、前記のコープさっぽろの大見常務理事(現理事長)をはじめ、農林水産省の中尾初代表示対策室長や大西元室長らの有識者のご協力もいただきました。
更に、任意団体としての活動時には、業務委託先の咳DCAの黒柳社長の多大なお力添えのもとで遂行させていただきました。また、準備の打合せ会場として、幣協会副理事長で当時東京海洋大学大学院にて教鞭を取っておられた日佐先生のお部屋を利用させていただきました。もちろん、ここではご紹介しきれない他の多くの方々のご支援・ご鞭撻があったことを申し添え、またご恩を受けた皆様方に心からの感謝を申し上げる次第です。
以上のような経緯を経て協会が発展を遂げてきたわけですが、今後は、すでに受験された方々、これから受験される方々はもちろんのこと、広く消費者・事業者全般すなわち国民の皆様に貢献できる協会となるよう一層の精進をする覚悟でいます。
食品表示は、新制度への移行が済んだ後も、その時代、時代の消費者ニーズや社会状況等を反映して制度が見直されていくと思われます。またインターネット等の活用も視野におくことになるかと思います。すなわち「表示」から「情報」という視点での対応も求められてくることでしょう。
幣協会としても、検定制度のみならず普及・啓発活動やテキストをはじめ参考書籍の出版、調査研究の実施等、より幅広い活動を積極的に展開していく所存です。
最後に、これまで幣協会の諸活動に関わっていただいた方々に対して感謝申し上げるとともに、今後ともご支援・ご鞭撻いただきますようお願い申し上げ10周年のご挨拶とさせていただきます。