食品表示検定活用事例

「食品表示」で地域メーカーの活性化を後押し!

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生活協同組合コープさっぽろ様

  • 品質管理室室長 是永 憲宏様

食品の安全と適正な表示を守るため、独自のデータベースを開発し、食品表示検定を活用しているコープさっぽろ。その取り組みについて、品質管理室長の是永憲宏氏に話を聞いた。

コープさっぽろは食の安全に強いこだわりを持っていると伺いました。

是永 その通りです。食の安全・安心は私たちにとっての生命線です。2004年には「食の安全委員会」を立ち上げ、学識経験者や組合員代表、常勤理事らと議論を重ねながら、より安全な食品提供のための基盤づくりを進めてきました。

コープさっぽろ独自の安全基準があるそうですね。

是永 はい。私たちは国の基準を上回る5つの自主基準を設けています。
 1.微生物管理
 2.添加物管理
 3.コープ直産品の取り扱い基準
 4.生鮮食品の表示管理
 5.加工食品の原料原産地表示
これらの基準をもとに、組合員の皆さんにより安全で信頼できる商品を提供しています。

食品表示の適正管理には、データの正確さが重要ですね。

是永 そのため、私たちは自前のデータベースを構築しました。コープさっぽろの関連会社であるデュアルカナム社が管理しており、40万点以上の商品カルテを管理する「アルカナム」、惣菜などの表示を効率化する「エウデリカ」などのシステムを運用しています。

独自のデータベースを持つことで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

是永 食品のトレーサビリティが格段に向上しました。2007年には「日本トレーサビリティ協会」を設立し、生産・流通・小売・消費者のデータ連携を進めてきました。当時は食の安全を脅かす事件が相次いでいた時代でした。例えば、ミートホープ事件(牛肉に豚肉を混ぜて「100%牛肉」と表示)や、赤福の賞味期限改ざん事件などが起こり、食品業界において表示の正確性が強く求められていました。

食品表示検定の取得を生協の職員の皆さんに推奨していると聞きました。

是永 コープさっぽろでは、販売担当者には初級、バイヤーや商品開発担当者には中級の取得を推奨しています。さらに、商品カルテ登録を担当するデュアルカナム社には上級資格者が7名常駐しています。

食品表示検定は、食品業界全体の支援にも活用されているのでしょうか?具体的な事例があれば教えてください。

是永 コープさっぽろでは、地元・北海道の食材を積極的に扱っています。しかし、地域の中小食品メーカーの多くは「食品表示まで手が回らない」という課題を抱えています。そこで、私たちが食品表示の代行入力を行い、適正な表示を支援しています。

食品表示のサポートが、企業の成長につながることもあるのですか?

是永 そうですね。適正な食品表示を整えたことで、他のスーパーマーケットからの引き合いが増え、販売力が向上したメーカーも多くあります。食の安全を守るだけでなく、地域の食品産業全体を支援する取り組みにもつながっています。地域メーカーの活性化にもお役に立っていると思います。

食品表示の未来について、一言お願いします。

是永 食品表示は、単なる「義務」ではなく、「食の安全を守るための共通言語」です。今後も、消費者が安心して食品を選べる環境を整え、業界全体の発展に貢献していきたいと思います。

(インタビュー 2025年3月)